えっ!?Cosminexus(コズミネクサス)って何?HiRDB(ハイアールディービー)ってまだあるの?
そう驚く人もいるかもしれない。
実は、CosminexusやHiRDBは今も販売され続けている。
しかし、日立を離れた私の耳には、もうその名前が入ってくることはほとんどなくなってしまった。
かつて日本企業のIT基盤を支えてきた国産ミドルウェアの歴史と、グローバル市場での戦い——。
そこから見えてくる、日本企業が今後学ぶべきこととは何だろうか?
ホストからオープンシステムへ—CosminexusとHiRDBの誕生
時は1990年代後半。
メインフレーム(ホストコンピューター)からオープンシステムへという大転換が世界的に進んでいた。
従来のホストは高価で扱いづらく、企業はより柔軟なアプリケーションサーバとRDB(リレーショナルデータベース)を求めるようになった。
そこで日立製作所が投入したのが、Cosminexus(アプリケーションサーバ)とHiRDB(データベース)だ。
これらは日本の大手企業向けに最適化されており、特にJP1(統合運用管理ソフトウェア)と組み合わせることで、日立案件では鉄板のセットとなっていた。
しかし——。
世界を席巻するApache、Oracleの波
Cosminexusは、オープンソースのApache Tomcatを内包しながらも、パフォーマンス向上やエンタープライズ機能を強化していた。
HiRDBも高い信頼性とスケーラビリティを誇り、かゆいところに手が届く設計で、ユーザーからの評判は決して悪くなかった。
ところが、ここで市場の大波が襲いかかる。
世界ではApache TomcatやOracle WebLogic、IBM WebSphereなどのミドルウェアが爆発的にシェアを伸ばしていた。
特に、
✅ Oracle Database → 巨大なマーケティング戦略+グローバル企業の標準に
✅ Apache Tomcat → 無料&オープンソースで圧倒的普及
こうした海外勢の猛攻の前に、国産ミドルウェアは徐々にシェアを失っていく。
競争が激化するミドルウェア市場
1️⃣ コストの問題
- オープンソースを活用しているのに、価格競争が厳しい。
- 企業は「それならOracleやApacheでいいじゃん」となった。
2️⃣ マーケティングの難しさ
- 国内市場に特化していたため、海外での認知が広がらなかった。
3️⃣ グローバルスタンダードの壁
- 日本企業内では定着していても、海外拠点やグローバル展開では「結局、OracleやMySQLに乗り換えざるを得ない」。
4️⃣ ミドルウェア価格の下落
- 競争が激化し、どんどん価格が下がる。
- 各社とも、付加価値をどうつけるかが課題となっていった。
とはいえ、CosminexusやHiRDBは今も進化を続け、企業の基幹システムを支えている。
技術の優位性 vs. 市場競争
実際にCosminexusやHiRDBを使った経験がある人なら、
✔ 一度慣れると使いやすい
✔ 国内システム向けの細かい機能が充実
✔ パフォーマンスチューニングしやすい
と感じたことがあるだろう。
しかし、製品の技術的な優位性だけでは、市場競争に勝ち続けるのは難しい。
マーケティング戦略、価格設定、グローバル展開の難しさが、長期的なシェア争いを左右するのだ。
日立を離れた今、見えてきたこと
日立を出た今、私の耳にはCosminexusやHiRDBの名前が入ってくることはほとんどなくなった。
それは、私の視点が変わったからだろう。
しかし、CosminexusやHiRDBは今も企業システムの中で活躍し続けている。
こうした日本の技術が、より多くの市場で活用されるためには、
✅ 技術力だけでなく、マーケティングや商品企画力を強化すること
✅ グローバル市場での戦略を早い段階で検討すること
✅ オープンソースとの共存戦略をどう考えるか
がますます重要になってくるのではないだろうか。
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まとめ:CosminexusとHiRDBは今も生きている
「消えたのではなく、私が見えなくなっただけ」
日立を離れたことで、CosminexusやHiRDBの存在を意識することはなくなったが、今もなお必要とする企業は多い。
日本のIT業界が世界で戦うために、CosminexusやHiRDBの歴史から学べることは多い。
技術だけでは足りない。売れる仕組みをどう作るか——それこそが今後の課題なのかもしれない。
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