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「システムは、つながって初めてビジネスになる」 ――ロンドンから届いた金融システムが教えてくれたこと

えっ、システムって一つ完成させれば終わりじゃないの? 以前、私はロンドンから金融システムを導入するプロジェクトに関わっていました。 当時の私は、まず「メインとなる金融システムを日本でどう動かすか」を考えていました。 海外から導入するシステムですから、当然、日本の業務に合わせた調整が必要です。 ただ、基本的な考え方はシンプルでした。 メインシステムは、できるだけ設定で変更する。 どうしても設定では対応できない部分だけ開発する。 そして、その開発については日本で全部作るのではなく、基本的にはロンドン側へ依頼する。そこから必要な開発が、しかるべき場所で行われていく。 「これなら、なんとか進められそうだ」 そう思ったのを覚えています。 ところが、次に待っていたのが「周辺システム」でした。 メインシステムが来ると、周りも変わる 新しい金融システムが入る。 すると、当然ながら、そのシステムとつながっている周辺システムも変えなければなりません。 データ項目が変わる。 インターフェースが変わる。 送信する形式が変わる。 受け取る側も、それに合わせて改修する。 一つずつ確認し、一つずつ接続していく。 すると、少しずつ社内システム全体の姿が見えてきました。 「よし。社内はなんとか目途が立ってきた」 そう思った瞬間、次の課題が出てきました。 今度は、 別の会社のシステムです。 金融システムは「会社の中」だけでは完成しない 金融の世界では、一つの会社のシステムだけですべての業務を完結できません。 注文が入る。 確認する。 承認する。 支払う。 記帳する。 そして、その情報を別のシステムや企業へ連携する。 つまり、一つの取引を成立させるために、多くの企業、多くのシステムがつながっています。 ここで重要になるのが、「どうつなぐか」です。 どのプロキシーを使うのか。 どのデータフォーマットで送るのか。 どのくらいの頻度で送信するのか。 システムはこちらから接続しに行くのか。 それとも相手に接続してもらうのか。 さらに、接続に料金は発生するのか。 こうしたことを一つずつ決め、相手企業に通知しなければなりません。 そして、通知して終わりではありません。 「この項目は何ですか?」 「この形式には対応できますか?」 「テスト環境はどうしますか?」 次々と質問が来ます。 それに回答しながら、今度は接続テス...

まだ現役!?――ミドルウェア構築で触れた「基盤づくり」の深層

アプリ屋が、いきなり開発基盤に放り込まれた話 うわっ、今でもあるの!?――正直、それが最初の感想だった。 次のプロジェクトは、日立の開発基盤を構築する案件。扱うのは Justware 。 研修時代に一部使っていたとはいえ、まさか今も現役で使われ続けているとは思わなかった。 でも、長く続けてくださっていることには、素直に感謝しかない。     ■自分たちの製品を使い続けるという文化 当時から、自分たちが作っている製品を自分たちの現場で多く適用していく文化があった。 それは、とても良い文化だと思う。 一方で、「自社製品縛り」になることで、動きにくかった点が多かったのも事実だ。 今回、自分が担当したのは、Justwareの中の ある一機能 。 まず全体を理解し、その上で機能を付け加えていく役割だった。 ■アプリ屋が、いきなり基盤づくり それまで作ってきたのは、ほぼアプリケーション。 そんな人間が、いきなりミドルウェア、しかも開発基盤づくり。 なかなか簡単じゃない。 担当したのは、端っこの機能とも言える Message Queuingシステム 。 でもこれ、今ではデータ転送が当たり前になった世界では、超必須の機能だ。 ■時代の少し先を行っていた機能 当時もシステム間連携は当然行われていたが、今ほど多くはなかった。 基本は自前で構築するスタイルで、DBやWeb、機能管理がメイン。 その中で、対外システムとの接続を担うのが、この機能だった。 使い方次第では、対内システムとの接続にも使える。 でも当時は、そこまで活用されていなかった。 使われていないから、資料も少ない。 ネット上の情報もほとんどない。 ■難解な情報と、深層への入口 ソフトウェア工場から出てくる Cosminexus の資料は、正直かなり難解だった。 読めば読むほど、「これはアプリじゃない」と思わされる。 でも同時に、ソフトウェア開発の 深層に近づいていく感覚 があった。 見えないところで、システムを支える仕組み。 派手じゃないけれど、確実に効いてくる世界だ。 ■次に進むための基盤 アプリしか作ったことがなかった自分が、基盤づくりに触れた経験。 これは、確実に次につながっている。 難しい。情報も少ない。 でも、だか...

「つなぐ力」で未来を変える!日本の“見えないインフラ”がすごすぎた話

金融システムから学ぶ“データ連携”の真髄と、明日からできる小さな一歩 「えっ!?振込って実はお金が動いてない!?」 そんな話を聞いて、思わず身を乗り出したのが数年前。銀行口座にお金が振り込まれるたび、物理的に「お金」がどこかから飛んできていると思っていた私にとって、それは衝撃的でした。 でも、その裏側にあるのは、「システムとシステムがつながっている」からこそできる、驚くべき世界。日本では、実に何十年も前から、こうした「つなぐ仕組み」を緻密に、丁寧に作り上げてきたのです。 システムをつなぐ、という発想 私たちの周囲には、あらゆるシステムが存在します。 空調、セキュリティ、勤怠管理、購買、在庫、経理…その多くが個別に存在し、時にはバラバラに管理されています。 でも、それらが“つながったら”どうでしょうか? 勤怠データが自動的に給与計算につながり、在庫情報が購買部門にリアルタイムで共有され、さらにはAIが最適な発注時期を提案する。 そう。システムを「つなぐ」ことで、企業も社会も一気に効率化されるのです。 つなぐために必要な“見えない条件” とはいえ、ただ物理的にケーブルをつないだだけでは、システムは動きません。 両方のネットワークがきちんと通信できること そもそも連携できるインターフェースがあること データ基盤が共通であること データ形式や規約が揃っていること こうした前提条件が、地味だけれどとても大切なんです。 先人たちが切り拓いた“金融の世界” この「つなぐ力」を何十年も前から実現していたのが、金融の世界です。 各銀行のシステム、そして日本銀行(日銀)をつなぐ「全銀システム」。 たとえば、私たちが銀行で「振込」をするとき、実際にお金が物理的に移動しているわけではありません。 「〇月〇日、〇〇銀行の〇支店・〇〇口座から、△△銀行の△支店・△△口座へ△円振り込む」という データ をやりとりしているだけ。 その後、決済日に各銀行の口座間で、合計金額を一括で精算する──それが全銀システムの仕組みです。 そして、この巨大な仕組みを支えているのが「システムの規約」です。 システムを動かすのは、“人の意思” この全銀システムの規約は、AIではなく、人が考え、人が整えてきたもの。 新しい技術が登場しても...