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フルスタックを超える。「翻訳家」という、もう一つの武器

システムを作る側から、システムを「つなぐ側」へ 「えっ、今回はアプリを作らないの?」 今回のシステム開発プロジェクトが始まったとき、少し意外な展開になった。 実は、今回のシステム開発では、自分の部署はそれほど出番がなかった。 というのも、今回導入するシステムは、すでに完成している。ゼロからアプリケーションを開発するのではなく、完成したシステムを日本のビジネス環境に合わせて導入していくプロジェクトだった。 もちろん、話はそんなに簡単ではない。 新しいシステムが突然やってくれば、それまで使っていた周辺システムとの間に「Interface」という問題が発生する。 当然、各周辺システムには改修が必要になる。 「システムは完成しています」 そう言われても、周りのシステムからすれば、 「いやいや、急に新しいものが来たんですけど……」 という話だ。 こうして、Interfaceに四苦八苦するプロジェクトが始まった。 「作る」より「理解する」が仕事になった その周辺システムを作っているのが、私の部署だ。 最初は、今回のシステム導入でも、当然アプリケーション構築が必要になると想定していた。 ところが、システムを理解していくと、少しずつ見え方が変わってきた。 そのシステムは、想像以上に柔軟だった。 Config、つまり設定によって、多彩な調整ができる。 つまり、プログラムそのものを書き換えなくても、多くの要求に対応できる仕様になっていた。 さらに、今回はビジネス側も新しいシステムに合わせて業務を作り込んでいく。 そのため、「日本のビジネスに合わせてシステムを大幅改修する」という場面も、当初想定していたほど多くはなかった。 では、大規模アプリケーション製造部隊にいる自分に、何ができるのか。 そこで役立ったのが、これまで身につけてきた「英語」と「システム」の両方だった。 フルスタックを超える人には、まだかなわない もちろん、世の中には、システムを深く理解し、設計し、実装し、英語でコミュニケーションまで完結できる「フルスタックを超える」ようなメンバーがいる。 正直、そこにはまだかなわない。 でも、自分にはできることがある。 システムの仕様を理解しながら、英語のドキュメントを読み込む。 技術的な意味を理解する。 そして、それを日本のメンバーが理解できる形に翻訳する。 気がつけば、今回の主な作業...

「なんでも屋です」が、いちばん強かった。──フルスタックを超えたエンジニアの正体

「えっ、この人、何者なんだ?」 今回、あるイギリスのシステムを日本に適用するプロジェクトに参加しました。 日本側の中心メンバーは2人。 一人は、英語がペラペラの日本人エンジニア。 もう一人は、日本語が少しできるイギリス人エンジニアです。 最初は「技術面でサポートしてくれる人」というくらいに思っていました。 ところが、話をしているうちに、だんだん違和感が出てきました。 日本のビジネス専門家が、その人に直接問い合わせる。 システム担当者が質問すると、「では、このスクリプトを実行しましょう」と、その場で対応する。 さらに、データベースの構造を説明し、ネットワークについても教えてくれる。 「なんなんだ、この人は?」 システムだけではありません。 ビジネスのことも分かる。 英語も分かる。 日本側の事情も分かる。 データベースもネットワークも分かる。 しかも、年収を聞けば1,000万円を超えてくる。 これは確かに、フルスタックを超えている。 でも、本人の言葉は意外だった 「すごいですね。何でもできますね」 そう話しかけると、彼は少し笑って答えました。 「いや、何でも屋なんで。結構つらいですよ」 その言葉が、妙に印象に残りました。 実際、その仕事は簡単ではありません。 突然、イギリスから指示が飛んでくる。 「日本のシステムを、この仕様に変更してください」 ところが、ビジネス側から質問を受けてイギリスに投げても、すぐには答えが返ってこない。 当然です。 日本とイギリスには時差があります。 日本の夕方になると、イギリス側との仕事が本格的に始まる。 夕方から夜まで会議。 そして、日本側では朝から別の会議。 さらに、単純な通訳だけでは終わりません。 ビジネスの意図を理解し、それをシステムの言葉に変換する。 イギリス側の技術的な説明を、日本の現場が理解できる形に戻す。 必要なら自分で検討し、スクリプトを実行し、データベースやネットワークまで確認する。 「システム、ビジネス、検討、実践、通訳。何でも屋ですよ」 そう吐露してくれました。 「何でもできる」は、実は大変だ その姿を見て、私は思いました。 できる人ほど、仕事の境界線を越えてしまう。 「私はシステム担当なので、そこは分かりません」 そう言えば、仕事は楽になるかもしれません。 でも、目の前の問題を解決しようとすると、そうはいかない。 ビ...

ロンドン帰りの私が見た、「フルスタックを超える人」

システムを入れるだけなら、仕様書なんて読めば終わり!……本当にそうでしょうか?      ロンドン出張から帰ってきた。 目的は、イギリスで使われているシステムを日本に導入することだった。 「イギリスのシステムなら、まず仕様書を読めばいい」 最初は、そんなふうに考えていた。 システム要件を理解して、機能を確認して、日本に実装する。 ところが、実際に要件を読み始めると、すぐに壁にぶつかった。 「これ、日本ではそのまま使えない……」 システムは、その国のビジネスを映している 理由はシンプルだった。 システムの前提になっているビジネスルールそのものが、日本とイギリスでは違う。 特に証券業界は、さまざまなルールが多段構造になっている。 まず金融庁や取引所がルールを決める。 そのルールを、大手の銀行や証券会社が自社の業務に落とし込む。 さらに中小の証券会社が、そのルールに対応する。 そして最終的には、顧客にまでルールが配分されていく。 つまり、システムだけを見ても全体像は分からない。 その背景にある「ビジネスの仕組み」を理解しなければ、システムを日本に持ってくることはできないのだ。 イギリスのルールを、日本のルールに翻訳する そこで重要になったのが、単純なシステム導入ではなかった。 イギリスから入ってきたビジネスルール。 それを日本の業務ルールに合わせていく。 そして、その日本の業務を支える形にシステムを実装していく。 つまり、 イギリスのBusiness → 日本のBusiness → 日本のSystem という変換が必要だった。 ロンドンに行ったからといって、システムの導入方法が分かるわけではない。 仕様書を読んだからといって、日本でどう使うかが分かるわけでもない。 そこで、ロンドンのシステムを日本に導入するための「橋渡し役」が必要になる。 そこで出会った、すごい人たち プロジェクト期間中、ロンドンから日本に滞在して支援する人がいた。 一方、日本側にも、英語ができて、システムも分かる人が雇われていた。 彼らの仕事は、単なるシステム担当ではない。 イギリス側の業務内容を理解する。 システムの構造を理解する。 日本側の業務を理解する。 そして、それぞれの違いを言語化して、両者をつなぐ。 英語も、日本語も、業務も、システムも分かる。 私は、その姿を見て...

フルスタックのさらにその先へ!──“全部できる人”の時代は終わらない

驚きの始まり 「えっ!? フルスタックなんて言葉、昔はなかったんだよ!」 システム屋としてキャリアを歩み始めたころ、そんな概念すら存在していませんでした。当時は「SE」という大きな括りの中で、プログラマー、インフラ担当、ネットワーク担当と、まるで将棋の駒のように役割が分かれていたのです。 プロジェクトごとに変わる“席替え人生” 配属はプロジェクトごとに決まるのが常識。今回はプログラマー、次はサーバ担当、その次はテスト要員。そんなふうに、私はさまざまなチームを転々としてきました。大企業・日立にいたこともあり、扱う業務は幅広く、SEという肩書きは実に奥が深いものでした。 当時は、サーバ管理の達人、ネットワークの神様、DBの第一人者といった“その道のエース”が必ずいて、チームは彼らを中心に動いていました。そんな中で「いろんなことを少しずつ分かる人」が存在し、その人たちはいつの間にかPM(プロジェクトマネージャー)へと成長していったのです。 分業の進化、そして“フルスタック”の誕生 やがてPMという役割が「専門職」と認識されるようになりました。サーバ、ネットワーク、DB、それぞれの専門家を組み合わせることで、プロジェクトは格段に成功率を高めていったのです。 その一方で、「全部をある程度理解していて、どこでも戦える人」を人々は“フルスタック”と呼ぶようになりました。そう、分業化が進めば進むほど、逆に“横断的に全部見られる人材”の価値が上がっていったのです。 フルスタックのさらに上とは? では、フルスタックこそ最強なのでしょうか? いいえ、実はその上が存在します。PM?──いえ、それもまた違います。 フルスタックは「現場で戦えるオールラウンダー」ですが、さらに上には“ビジョンを描き、仲間を動かし、技術を超えて組織や社会を変えていく人”がいます。そうした存在こそ、真の意味での“次世代型エンジニア”なのではないでしょうか。 空いた時間でお小遣いを貯めよう!「アイリサーチ」     明日からの一歩 振り返れば、私自身も数え切れない担当替えや役割を経て、学びを積み重ねてきました。その経験こそが今の私を形作っています。 だからこそ、私は思います。 「フルスタックのその先」──そこにこそ、未来の可能性がある。 私ならできる!そして...

「システム屋、転職で人生変わる!?」──現役エンジニアが語る“動く勇気”のススメ

転職市場は今、熱い! 「えっ、今の会社辞めても、次がすぐ決まるの!?」──こんな衝撃の一言を聞いたとき、私は思わず背筋が伸びた。 転職市場は近年活発化しており、IT系も例外ではない。システムエンジニアの需要は高止まりしており、優秀な人材には多くの選択肢がある時代だ。 競争は激化。でもチャンスも大きい 確かに昔から、中国やベトナムの格安ベンダーが存在し、システム開発の競争は激しい。 「仕事が奪われるのでは…」と不安になることもあるだろう。しかし一方で、システム化のニーズはますます広がっている。業務の自動化、データ活用、クラウド移行──カバーすべき領域は増えるばかりだ。 フルスタックはまさに引く手あまた 仕事の量は十分にある。特にフルスタックエンジニアやクラウドに強い人材は、転職市場でも高く評価され、好条件のオファーが多数舞い込む。 しかし、転職が必ずしも最適解ではない。社内に残っていても、プロジェクトが変わるたびに新しい環境や課題に挑戦することになるからだ。転職もプロジェクト移動も、経験としては大差ないのだ。     動く勇気が未来を変える だからこそ、自分の評価が正当にされていない、または新しいことに挑戦したいと感じるときは、転職も視野に入れて行動してみる価値がある。 責任を取るのはいつだって自分自身。チャンスも失敗も、自分次第だ。 結論として──迷ったらまず一歩踏み出そう。新しい職場かもしれないし、次のプロジェクトかもしれない。どちらにせよ、私ならできる!明日から、動き出す勇気を持とう。