衝撃のスタート
「えっ!? グローバル企業って、もっと“リモート”じゃないの!?」──これが、私が入社して最初に感じた正直な感想でした。時差を超えて世界中とつながる、場所に縛られない働き方。そういうものをイメージしていたのです。ところが実際に飛び込んでみると、そのイメージは大きく裏切られました。
想像以上に「リアル」だった世界
オフィスは世界中に点在し、社長やリーダー陣は週単位で世界を飛び回る。タウンホールはニューヨーク、ロンドン、シンガポールと拠点を移し、現地参加もあればオンライン中継もある。確かに、日本にいながらグローバル会議にリモートで出席できる環境は整っていました。しかし、ただ画面越しに参加するだけでは決して「中心」には近づけない。そのことを、入社して数か月で痛感しました。
日本人は自分ひとり
多くの会議で、日本人は私ひとり。だからこそ「日本の状況を説明してくれ」と聞かれるたび、背中を押されるように発言しました。日本という国を代表しているような感覚。責任感と緊張感の中で、必死に英語を駆使して言葉を紡ぐ日々でした。最初は誇らしくもありましたが、同時に孤独でした。誰もフォローしてくれる人はいないのですから。
不思議な現象の正体
そんな中で気づいたのは、ひとつの“不思議な現象”でした。リーダーたちが次々にボストンへ移っていくのです。スイスからも、アジアからも、トップクラスの人材が次々とボストンに拠点を移す。上層部へ行けば行くほど、居場所はボストンに近づく。逆に、移れない人は数年以内に会社を去っていく。グローバルプロジェクトを仕切っていた有能な人材さえ、その流れに逆らうことはできませんでした。
リモートは「下」にしかない
私はやがて悟りました。会社全体を動かす決定権を持つ人々は、社長の近くにいなければならない。オンラインではなく、オフサイトで隣に座り、毎日の空気を共有する必要がある。リモートで働けるのは、あくまで各リージョンのサポートやオペレーション。リモートで回せるタスクはインドや東ヨーロッパに集約されていく。つまり、「グローバル企業はリモートだ」という私の幻想は、上層部の現実とはかけ離れていたのです。
昇進の条件は「成果」+「移住」
その組織戦略の中で、昇進の条件は明確でした。「成果を出す」ことは当然として、それ以上に「引っ越し可能」であること。しかも単身で動けるのではなく、家族を含めた移住が可能かどうかが問われるのです。自由に動ける人が有利であり、家族を持つ人は不利。家族がいても移ってほしいなら、それだけの成果を示さなければなりませんでした。
私の挑戦と現実
私自身、物理的に動けないわけではありませんでした。しかし、家族5人分の移動を会社に認めさせるほどの成果を上げていなかったのです。日本のシステムのクラウド移行やAWSでの登壇──確かに大きなチャレンジを達成しましたが、それはグローバル全体から見れば、年次成果のひとつに過ぎませんでした。世界規模の成果と比べると、まだ「移住を認めさせるカード」にはならなかったのです。
最初は上司も協力的で、「タイミングを見て考えよう」と言ってくれました。しかし1年が過ぎると、その話は自然と消えていきました。「そんなリクエスト、あったっけ?」と扱われるほどに。私はそこで悟ったのです。成果を出したつもりでも、まだ足りていない。昇進や異動には、圧倒的な実績とタイミングが不可欠なのだと。
学んだこと、そして決意
ただし、この経験は私に大きな気づきを与えました。グローバル企業の本当の姿、組織戦略の現実、キャリアの条件。そのすべてを理解した上で、自分の進むべき道を考えることができるようになったのです。結局、私は大企業での昇進に限界を感じました。しかし、そこで立ち止まるのではなく、次の道を選ぶことができました。
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明日からの一歩
グローバルはリモートじゃない。だからこそ、自分のキャリアも「現実」と向き合わなければならない。けれど私はもう迷いません。「私ならできる。明日から踏み出す!」──場所に縛られない、自分の選んだ未来へ向かって。そう信じて、新たな挑戦を始めています。
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