業務の下請けを超えて、ビジネスを動かす主役になると決めた日。 「うわ、こんなにシステムがカッコいいなんて、誰が想像しただろう⁉」 東京・兜町、霞がかった朝。スーツ姿で向かう東京証券取引所のビルの中、私はある人の背中を目の当たりにして、震えるような感情を覚えていた。 私はかつて、 東京証券取引所のIT企画部で2年間 働いた。 そのとき、CIO(最高情報責任者)としてシステム戦略を引っ張っていた方がいる。 この方が、本当に“異次元”だった。 金融の専門家ではない。だが、誰よりもこの「取引所」という巨大な仕組みにシステムで切り込み、 業務を変革し、世界と戦える武器にする という強烈なビジョンを持っていた。 彼の口癖は、「 業務の下請けで終わるな。システムでビジネスを動かせ 」だった。 DXなんて言葉がなかった時代に、DXしていた人 2010年前後、まだ“DX”という言葉が世間に浸透する前のこと。 彼は、東京証券取引所のシステム刷新を次々と仕掛けていった。 従来の「業務が設計し、システムがそれを作る」という枠を超え、 システムが主導して業務を再構築する ようなプロジェクトばかりだった。 しかも、それは単なる刷新ではない。 秒単位で勝負が決まる高速取引の時代 を見据えて、 ミリ秒レベルでの高速化 、可用性、信頼性、そして運用までを包括した「攻めのIT」を実践していた。 その中で私は、はっきりと“今までのシステム屋”の枠が壊れる音を聞いた。 「システムは武器になる」その真実に気づいた 東証のIT企画部で見たのは、ただの開発や保守ではなかった。 人事・組織・予算までも設計しながら、システムの力で企業価値を高めるという、本物のIT経営 だった。 「これが、世界を目指すシステム屋の姿か……」 そう感じた瞬間、私は自分の中でスイッチが入った。 業務から「言われたものを作る」だけの関係は終わりだ。 ビジネスを動かすには、システムがリードすべきなのだ。 あの日から、“生き方”が変わった この経験が、私の価値観を根底から変えた。 システム屋だって、いや、 システム屋だからこそ、経営を変えられる。 その背中を、私は東証の現場で、リアルに見てしまったのだ。 今も多くの企業では、「業務が主、システムは従」という関係が続いている。 ...
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