ベルギーからフランスへ。言葉も文化も違う中で出会った“あの叫び”が、いまも心に残っている。
「うわっ、マダムが叫んでる!」
その夜、僕は初めて“フランス語が分からない恐怖”を体で感じた。
🚗 ブリュッセルでの出発
僕の研修先はRenault(ルノー)。その前に、3か月のフランス語学習があった。
本格的な企業研修はその後の8か月間。
最初の集合場所はベルギー・ブリュッセル。日本から集まった11人の仲間と、そこで初めて顔を合わせた。
ブリュッセルでの1週間の研修には日本人スタッフは誰もいない。
何年もこのプログラムを支えてきた優秀なイタリア人スタッフが私たちを迎えてくれた。
初めて会う仲間と、将来への不安を語り合い、励まし合う日々。
やがて僕たちは、それぞれの国へと散っていった。
フランスへ向かうのは4人。そのうちルノーに行くのは僕ともう一人。
1社に2人というのは、かなり珍しかった。
🚄 初めてのTGV、そしてアンボワーズへ
フランス語研修の場所はAmboise(アンボワーズ)。
ブリュッセルを後にし、初めてのTGVに乗り込む。
カタツムリみたいなロゴを眺めながら、「新幹線より揺れるなあ」と心の中でつぶやいた。
夕方、アンボワーズ駅に着くと、仲間のホームステイ先のマダムが迎えに来ており、僕の家まで送ってくれた。
🏠 フランスにもあった“団地”
到着したのは、4階建ての団地のような建物。
「フランスにもこういう場所があるんだな」と少し驚きながら部屋へ。
3か月滞在する小さな部屋は、家具や装飾がすべてフランス風。
長旅を終え、外はすでに暗くなっていた。
「明日の話をしないと」と思いながら、マダムと簡単な会話を交わす。
💥そして——マダムの叫び声
そのときだった。
突然、マダムが大声で叫び始めたのだ。
言葉は分からない。けれど、明らかに怒っているのは伝わった。
小さな部屋に響くフランス語の叫び声。僕はただ立ち尽くすしかなかった。
「何が起きているんだろう?」
異国の地で、まだ右も左も分からない自分。
その夜のことは、20年経った今も鮮明に覚えている。
🌈 結び
あのときのマダムの叫びは、僕に“外国で生きる”ということの現実を教えてくれた。
それでも翌朝、フランスの朝日を見たとき、なぜか心は前を向いていた。
異文化の中で感じた戸惑いも、今ではすべてが大切な経験だ。
私ならできる!明日から踏み出す!
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