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そんなの“サービス”で付けるの!?——最初の現場で知ったプロの矜持

設計書の行間に宿る、日本のシステム開発の底力


うわっ、設計書にない機能が入ってる!?
エンジニアとして最初に配属されたプロジェクトで、私は少し戸惑いながら画面を眺めていた。


■ 初めての現場は「銀行×Web」

私が日立で最初に配属されたのは、銀行プロジェクトだった。
銀行の基幹システムをWebブラウザから操作するシステムで、作ったWebページは最終的に行内全体へ公開されていく。新人にとっては、なかなかの緊張感がある現場だ。

最初は日立システムズの先輩社員について、設計書を作るところから一つひとつ確認していった。
すでに要件定義は完了しており、工程は基本設計、そして詳細設計へ。私は一部の機能担当を割り振られ、Excelで設計書を書き、先輩のレビューを受ける毎日だった。


■ 口数は少ないが、技術は確か

その先輩は、とにかく優しい人だった。
口下手で、あまり多くを語らない。いわゆる「もくもくタイプ」。でも技術力は確かで、質問すると、少し間を置いてから独特で面白い回答を返してくれる。

設計書も、私が書いたものに先輩が手を加えながら一緒に仕上げていく。否定されることはほとんどなく、「ここ、こうした方がいいかな」と静かに示してくれる。新人にとって、これ以上ない環境だったと思う。


■ 設計書にない“親切”

ある日、先輩が担当している機能をレビューしていて、気づいた。
「あれ、この機能、設計書に書いてない…」

正直に聞いてみた。
「先輩、これ、設計書にないっすよ?」

返ってきた答えは、拍子抜けするほどあっさりしていた。
「あ、サービスで付けときました。」

理由を聞くと、こう続いた。
「これ、指摘して確認して、変更要件定義して…ってやると面倒でしょ。どうせ必要になるから、付けときました。」


■ 今なら分かる、その凄さ

そのときは「そんなことしていいんだ」と驚いただけだった。
でも今思うと、これは業務を深く理解し、利用者のことを本気で考えていないとできない判断だ。

その事業分野や業務に精通した人の感覚が、開発者レベルまで浸透している。
個別に細かく指示しなくても、自然と“忖度”がシステムに組み込まれていく。これこそが、日本の大企業が持つ構造的な強みなのだと、後になって気づいた。

業界を知っていることは、単なる知識ではない。
それは「良いシステムを先回りして作れる力」なのだ。


■ あの一言が、今も残っている

「あ、サービスで付けときました。」

その一言は、今でも私の中に残っている。
システムは仕様書どおりに作るもの。でも、本当に価値を生むのは、その一歩先を考えられるかどうかだ。

そういった構造だったのか——。
最初のプロジェクトで知った“親切なサービス”は、私のエンジニア観の原点になっている。

私ならできる!明日から踏み出す

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