あっ!自信満々で海を渡ったエンジニアが、システムの前で迷子になった。 入社8年目。 私はお客様が導入した金融システムの研修のため、ロンドンへ向かっていた。 サーバ担当、ネットワーク担当、オペレーション担当も一緒だ。 そしてアプリ担当は私一人。 しかも担当するのは単なる業務アプリではない。 金融システム全体。 数多くの機能が連携し、複数のシステムが複雑に接続される巨大なシステムだ。 私はかなり意気込んでいた。 これまで数々のシステムを構築してきた。 Javaによる3層構造。 Webシステム。 データベース設計。 インターフェース設計。 お客様向けシステムの開発。 アプリケーション開発には自信があった。 「このシステム全体を理解し、将来的には開発や運用もサポートする。」 そんな使命感を持ってロンドンへ向かった。 ■ 最初の違和感 研修初日。 講師が説明を始める。 しかし、何かがおかしい。 言っていることが頭に入ってこない。 英語の問題ではなかった。 むしろシステム用語ばかりだ。 知っている単語のはずなのに意味がつながらない。 サーバ担当は理解している。 ネットワーク担当も理解している。 オペレーション担当も質問している。 なのに私だけが取り残されていた。 なぜだろう。 ■ システムを理解していたつもりだった その答えに気づくまで時間がかかった。 私はずっと「アプリケーションの中」を見ていた。 画面があり、 業務ロジックがあり、 データベースがある。 いわゆるJava中心の3層構造だ。 しかしロンドンで説明されていたのは、そのさらに外側だった。 システムとシステムはどうつながるのか。 相手システムをどう認識するのか。 通信経路はどう設計されるのか。 障害が起きたらどこで切り分けるのか。 認証はどう行うのか。 通信先の設定はどこで持つのか。 ロードバランサーはどう動くのか。 ネットワークを越えた先にあるシステムとどう連携するのか。 私はシステム間のデータ連携設計は経験していた。 CSV連携もAPI連携も設計してきた。 だが今振り返ると、それは「つながっている前提」で設計していただけだった。 そもそもどうやってつながるのか。 なぜつながるのか。 どの設定がその接続を支えているのか。 そこへの理解が圧倒的に不足していた。 ■ 焦り続けたロンドンの日々 研修は進む。 しかし理解が...
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