「えっ、この人、何者なんだ?」
今回、あるイギリスのシステムを日本に適用するプロジェクトに参加しました。
日本側の中心メンバーは2人。
一人は、英語がペラペラの日本人エンジニア。
もう一人は、日本語が少しできるイギリス人エンジニアです。
最初は「技術面でサポートしてくれる人」というくらいに思っていました。
ところが、話をしているうちに、だんだん違和感が出てきました。
日本のビジネス専門家が、その人に直接問い合わせる。
システム担当者が質問すると、「では、このスクリプトを実行しましょう」と、その場で対応する。
さらに、データベースの構造を説明し、ネットワークについても教えてくれる。
「なんなんだ、この人は?」
システムだけではありません。
ビジネスのことも分かる。
英語も分かる。
日本側の事情も分かる。
データベースもネットワークも分かる。
しかも、年収を聞けば1,000万円を超えてくる。
これは確かに、フルスタックを超えている。
でも、本人の言葉は意外だった
「すごいですね。何でもできますね」
そう話しかけると、彼は少し笑って答えました。
「いや、何でも屋なんで。結構つらいですよ」
その言葉が、妙に印象に残りました。
実際、その仕事は簡単ではありません。
突然、イギリスから指示が飛んでくる。
「日本のシステムを、この仕様に変更してください」
ところが、ビジネス側から質問を受けてイギリスに投げても、すぐには答えが返ってこない。
当然です。
日本とイギリスには時差があります。
日本の夕方になると、イギリス側との仕事が本格的に始まる。
夕方から夜まで会議。
そして、日本側では朝から別の会議。
さらに、単純な通訳だけでは終わりません。
ビジネスの意図を理解し、それをシステムの言葉に変換する。
イギリス側の技術的な説明を、日本の現場が理解できる形に戻す。
必要なら自分で検討し、スクリプトを実行し、データベースやネットワークまで確認する。
「システム、ビジネス、検討、実践、通訳。何でも屋ですよ」
そう吐露してくれました。
「何でもできる」は、実は大変だ
その姿を見て、私は思いました。
できる人ほど、仕事の境界線を越えてしまう。
「私はシステム担当なので、そこは分かりません」
そう言えば、仕事は楽になるかもしれません。
でも、目の前の問題を解決しようとすると、そうはいかない。
ビジネスを理解する。
システムを理解する。
データを理解する。
ネットワークを理解する。
人と人の間をつなぐ。
そして、最後は自分で手を動かす。
専門家という言葉だけでは、もう説明できません。
フルスタックの、その先へ
「専門家にならなければいけない」
そんな考え方もあります。
もちろん専門性は重要です。
でも、DXの現場では、専門領域と専門領域の「間」を理解できる人が、圧倒的な価値を持つことがあります。
システム全般が分かるシステム屋でいい。
ビジネスも分かる。
技術も分かる。
実装も分かる。
人もつなげられる。
そんな「何でも屋」は、実はとても強い。
そして、その強さの裏側には、見えない苦労もある。
それでも私は、その人の姿が格好良いと思いました。
また一つ、あこがれができた瞬間でした。
私も、何でも理解できるようにしていこう。
専門家の壁を越えて、問題を最後まで解決できる人へ。
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