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「えっ、全社のシステムを月に一度ぜんぶ見る会議?」――東証出向で出会った"全体最適"の原型


えっ、全社のシステムを月に一度、ぜんぶ並べて見る会議があるの?

日立から東京証券取引所のIT企画部に出向して、私が最初に圧倒されたのは、技術でも制度でもなかった。「会議」だった。

■月一回、全社が集まる「システム全体会議」

IT企画部のタスクの1つに、全部署のシステム構築・運用を管理するという役割があった。会社全体のシステムは、放っておけば部署ごとにバラバラに育っていく。それを統一の取れた姿に保つには、誰かが全体を見ていなければならない。その役割のために開催されていたのが、月一回の大きな会議である。

参加するのは全部署。議題はITのことだけに限られる。時間は1時間で、各部署の持ち時間は5分程度。その5分で、「今のシステムに問題があるか」「何か開発をしているか」を報告していく。

報告のドキュメントは、書き方のフォーマットまで決められていた。運用の状況、開発の状況、すべてをその型に沿って書いて報告する。問題があるかどうか、開発が進んでいるかどうか、予算の申請などができているかどうか。各部署の1か月の状況と今後の予定を、みんなで共有する会議だった。

■5分に凝縮するために、部署は自分を知る

正直に言えば、準備は半端なかった。たった5分の報告のために、部署全体の状況を正確に把握し、型に合わせて資料を作らなければならない。5分しかないから、言い訳はできない。問題があるなら「ある」、開発が遅れているなら「遅れている」と、短く正確に言い切るしかない。

しかし、見方を変えれば、この「準備の重さ」こそが仕組みの本体だったのだと思う。毎月、報告の締切が来る。だから各部署は、自分のシステムの状態を毎月点検せざるを得ない。会議は点検の結果を聞く場であると同時に、点検そのものを強制する装置でもあった。

そして、その報告が全部署の前で行われる。全部署が、他の部署が何をやっているかを「一応」理解する。もちろん、細かいことまでは報告できない。1時間という枠の中では、深掘りはできない。だが、全体としてシステムを統一していくうえでは、非常に良い会議だったと思う。少なくとも、「隣の部署が何をしているか全く知らない」という状態にはならない。各部署がバラバラに動く「部分最適」の正反対が、そこにあった。

■「型」があるから、比べられる

もう1つ、この会議で学んだのは「型」の力である。ドキュメントのフォーマットが全社で決まっているということは、どの部署の報告も同じ物差しで読めるということだ。運用はどうか、開発はどうか、予算はどうか。並べて比べられるからこそ、全体の弱いところが見える。

型がない組織では、報告は部署ごとに自由な書き方になり、比べることができない。比べられないものは、管理できない。若い私には、それがどれほど大きなことか、当時は半分も分かっていなかったと思う。

■その後、どこの会社でも見たことがない

出向を終え、その後いくつかの会社を経た。だが、あのような会議は、どこでも見たことがない。

多くの会社では、システムの全体像は誰の頭の中にもない。問題が起きてから初めて、隣の部署のシステムとつながっていたことを知る。予算も開発も運用も、部署の中だけで閉じてしまう。全体を見る「場」がないからだ。全体を見る場がない組織では、全体最適は掛け声で終わる。

若かった私はあの会議を見て、いつか自分も、こんな会議を開催するよう指示できる位置につきたいと思った。出向したての若手にとって、それは遠い目標だった。けれど、目標の姿が「会議」という具体的な形で見えたこと自体が、大きな収穫だった。

振り返ると、非常に良い会議だった。そしてその後キャリアを重ねた今でも、私の鏡はあの全体会議だ。何か新しい組織や仕組みを考えるとき、私はいつもあの会議に照らして考える。全体を、定期的に、型を決めて、みんなで見る。それだけで組織のITは変わる。その確信は、あの1時間の会議から来ている。

私ならできる!明日から踏み出す

#DX #IT企画 #システム開発 #キャリア #日立 #出向 #会議術 #全体最適

コンテンツ記入ポイント

  • この記事で伝えたい現場経験:東証IT企画部の「システム全体会議」(月1回・全部署・5分報告・様式統一)
  • DX視点の学び:全体を見る「場」と「型」を定期運用することが全体最適の土台になる
  • 読者へのメッセージ:部分最適に悩むなら、まず全体を並べて見る場を作ること
  • 次のアクション:自分の組織で月1回・全チーム5分報告の場を試す

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